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問題社員を解雇する方法は?適切な手順と注意点を解説
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職場での問題社員の存在は、多くの企業にとって深刻な悩みの種となっています。
生産性の低下や職場の雰囲気の悪化など、問題社員がもたらす影響は小さくありません。
しかし、日本の労働者は労働基準法に守られ、問題ある社員であっても解雇することは非常に困難です。
違法な解雇は訴訟されるリスクが伴います。
そのため、解雇を検討する前に適切な手順と法的な注意点を理解することが重要です。
この記事では、問題社員への対処法や解雇の手順や注意点などを解説します。
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目次
問題社員でも解雇するハードルは高い
多くの経営者や人事担当者がご存知のとおり、社員の解雇は難易度の高い手続きです。
日本の労働基準法では、労働者の権利が強く保護されており、問題社員であったとしても解雇することは困難です。
実際、過去の判例を見ると、問題社員の解雇が無効とされたケースが数多く存在します。
例えば、営業成績が悪いという理由だけの解雇や、2週間の無断欠勤を理由とした解雇が無効という判例もあります。
問題社員でも難しいとされる解雇ですが、適切な手順を踏んで行なうことで訴訟リスクを抑えられます。
問題社員に会社を退職してもらう3つの方法
問題社員に会社を退職してもらうには主に3つの方法があります。
ここでは、それぞれの特徴と適用すべき問題社員について解説します。
退職勧告する
退職勧告とは、名前通り、会社側から社員に退職をすすめる方法です。
本人の同意のもとの退職となるため、解雇とは異なり法律による規制はなく、ある程度は自由に行なえます。
退職勧告を受ける社員に多いのは、能力不足や職場環境に適応できない社員などがあげられます。
ただ、比較的自由に実施可能な退職勧告ですが、過度に行なうと退職強要と見なされ、違法になることもありますのでご留意ください。
普通解雇する
普通解雇は、労働者側に何らか理由があり、労働契約が維持できない場合に、会社側が判断して行なう解雇の方法です。
普通解雇に該当する理由としては、健康状態の悪化や従業員の能力不足や改善の見込みが見られないなどがあげられます。
普通解雇する場合は、30日前に解雇予告を行なう必要や、解雇予告手当を支払う必要があります。
懲戒解雇する
懲戒解雇とは、社員に対して実施する最も厳しい処分の1つで、即日での解雇や退職金の不支給や減額が可能です。
懲戒解雇に該当する事由は、パワハラやセクハラなどの重大なハラスメント行為があった場合、または横領や背任など会社に損害を与える犯罪行為があった場合などです。
問題社員を解雇するための手順
解雇は訴訟リスクの伴う行為です。
問題社員とはいえ、解雇するためには以下の手順を慎重に踏むことが求められます。
各手順を踏んで解雇をすれば、もし問題社員に訴えられた場合でも、会社側の正当性を示せます。
問題社員の現状を把握する
まず、問題社員の現状を把握しましょう。現状把握は下記のような方法で行ないます。
- 日々の業務記録をつける(遅刻、早退、欠勤の回数や理由)
- 業務成果の定量的な評価をする(売上など)
- 同僚や上司からの具体的な苦情や報告を文書化する
- 問題行動の具体的に時系列で記録する(日時、場所、状況、影響)
- 可能であれば、防犯カメラの映像など客観的な証拠を収集する
重要なことは、客観的な評価を実施すべきという点です。
問題社員にはどうしても色眼鏡で見てしまい、感情の入った評価をしてしまいます。
しかし、この状況では客観的に状況を把握するということが求められます。
問題社員に注意や指導を行なう
現状の把握ができて問題行動を把握できたら、問題社員に注意や指導を行ないます。
面談は人事部や直属の上司など複数人で対応し、具体的な問題点と改善すべき点を具体的に説明します。
面談では感情的にならず、冷静な態度で臨んでください。
本人の言い分をしっかりと聞き、改善の機会を与えることを伝えることが重要です。
就業規則と問題社員の現状を照らし合わせる
次に、問題社員の現状と就業規則を照らし合わせます。
問題社員の行動が、具体的にどの条項に抵触するか確認する必要があります。
この際、考になるのが、過去の類似事例における処分参です。
過去に同じような事例がある場合は、それに準じた処分を下すことも可能ですが、必要に応じて弁護士や社会保険労務士に相談し、法的な観点からの助言を得ることも大切です。
軽微な懲戒処分をする
指導しても改善が見られない場合や就業規則と照らし合わせた結果、処分が可能な場合は軽微な処分をします。
問題社員に改善が見られた場合は、処分の必要はありません。
ここでいう軽微な処分とは、譴責、減給、出勤停止などを指します。
処分内容が決まったら、内容を通知し、理由を説明します。
処分後も面談後と同じように改善の機会を与える必要があります。
退職勧告する
処分を課した後も、改善が見られない場合は、問題社員に退職勧告します。
面談では、これまでの経緯を説明し、退職をすすめる理由を伝えます。
この際、退職条件(退職金、有給休暇の消化、退職日など)にも明確に伝えることが重要です。
本人の意向を確認した上で、十分な考慮期間を設けるようにしましょう。
問題社員には、退職の強制や脅迫と受け取られるような言動は絶対に避けるべきです。訴訟リスクが高まります。
解雇する
問題社員が退職勧告に応じない場合には、解雇を検討しましょう。
先に述べたとおり、解雇は慎重に処分する必要があります。
法的妥当性を弁護士など法律の専門家に確認し、法的妥当性を確認してから行なってください。
解雇予告(30日前)をするか、または解雇予告手当を支払うことは法律で定められています。
解雇通知書には、解雇理由などを明記し、問題社員の最終面談で手渡します。
解雇は最終手段です。
そのため、社内で十分に検討しなければなりません。
これらの手順を丁寧に踏むことで、問題社員への対応の正当性を示せます。
また、各段階で適切な記録を残せば、万が一の訴訟にも備えることができます。
ただし、個々の状況に応じて柔軟に対応することも重要です。
困難な事例や判断に迷う場合は、弁護士などへの相談がおすすめです。
問題社員を退職させる場合の注意点
問題社員への対応には細心の注意が必要です。
以下の注意点を守ることで、法的トラブルを回避し、適切な形で問題解決を図ることができます。
違法な退職勧告をしない
脅迫や強要にあたる言動は絶対に避けましょう。
退職勧告が違法と判断されると、会社側が訴訟リスクを負う可能性があります。
以下が違法行為に該当します。
- 「すぐに辞めないと解雇する」と脅す
- 「退職届を書くまでこの部屋から出さない」と物理的に拘束する
このような退職勧告をしたことが公になった場合、会社の社会的信用を大きく損なう可能性があります。
退職を目的とした配置転換をしない
退職を目的とした配置転換もすべきではありません。
不当な配置転換は、労働契約法第3条(均衡考慮・仕事と生活の調和)や第5条(労働者の安全への配慮)違反とみなされる可能性があります。
訴訟となった場合、会社側が敗訴する可能性が高まります。
簡単に解雇しない
解雇する前に、懲戒処分や退職勧告することを解説しましたが、退職勧告をしても問題社員が会社を辞めないからといって、すぐに解雇処分を下すべきではありません。
退職勧告した社員が、会社を辞めないのは、その方法が適切でない場合がほとんどです。
弁護士などの法律の専門家に相談した上で、再度退職勧告をすべきです。
この状況で解雇をすると、訴訟リスクを負う可能性が高いです。
探偵による素行調査は問題社員を解雇するために有効
それでも社員を解雇にしたい場合は、探偵の素行調査が有効です。
問題ある社員でも、解雇するたけには客観的な証拠が必要です。
探偵による、素行調査では以下のような問題行動を明らかにし証拠を取得します。
- 勤務時間中の無断外出や私的活動
- 会社の機密情報の漏洩
- 取引先や顧客とのトラブル
- 競合他社や反社との不適切な関係
探偵は尾行や張り込みなどの調査で問題行動の瞬間を捉えます。
これらの証拠は、解雇の法的正当性を裏付ける重要な証拠となります。
問題社員の素行調査費用
素行調査の費用は、下記の状況に応じて費用が異なります。
- 事前にいただける情報量と信憑性
- 取得する証拠の種類と難易度
- 調査期間(時間数・日数)
- 調査員の人員
社員の素行調査は、200,000円〜800,000円(税込)前後が相場です。
ご相談・見積作成は無料です。まずは、現在に至るまでの経緯や状況をお聞かせください。
※調査時にかかる諸経費(調査に必要な飲食費・滞在費・移動交通費等)は別途ご請求いたします。
無料相談窓口
問題社員であっても、解雇することは非常に困難です。
問題行動があるという理由だけで、安易に解雇すると訴訟リスクが高まります。
不当解雇と訴えられることを避けたいのであれば、この記事で紹介した手順に沿って進めていきましょう。
しかし、正しい手順で進めたのに問題ある社員が退職に応じない場合や後の訴訟リスクに備えて証拠を集めたい場合は、弊社までご連絡ください。
弊社は、法人向けトラブルに特化した調査事務所です。
貴社にあった最適な調査プランをご提案します。
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お見積り内容には、調査期間・調査員数・調査方法・調査報告書の作成費などが含まれています。 -
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